社員からアルバイトに降格!法律的な可否を問う
仕事上のミス、遅刻欠勤、勤務態度等々、いろんな事を理由に社員からアルバイトに降格された経験のある人いませんか?その状態を不満に思っていませんか?
もしくは将来的にアルバイトに降格する言われる可能性は誰でもあります。
そもそも社員からアルバイトへの降格は法律的に問題がないのでしょうか?
法律的な観点からご説明いたします。
このページの目次
社員からアルバイトに降格する事は法律的に可能か?
基本的には無理です。
正社員というのは基本終身雇用の正規労働者というカテゴリです。それに比べて、パートやアルバイトというのは、期限を定めて雇用している有期雇用労働者なのです。この二つの労働者の差は、給料体系や待遇以上に、雇用期間が定められていないというのが最大の差です。
正規労働者である正社員というのは、期限を設けて雇用させる事は出来ないので、期限切れによる契約の満了はできないのです。しかし、パートやアルバイトなどの場合、雇用期間を定める事が出来るので、雇用期間が満了した事によって契約を解除できます。
つまり正社員は簡単に辞めさせられないという事です。
法律的な解釈としては、正社員という立場で結んだ労働契約を、正社員でなくなればその契約に意味はなくなります。仮に降格させる根拠がその労働契約にあるのだとしたら、正社員でなくなる人にその労働契約をもとに降格させるのは不可能という解釈がされるそうです。
社員からアルバイトに降格されると会社から言われたら?
社員からアルバイトへ降格させる法的根拠はないのです。これが仮に「就業規則」に記載されていたとしても同様です。
例えば労働基準法というのは、最低限企業が守るべき法的基準を定めたものです。その基準を下回る就業規則を作っても、労働契約を結んでも、それは無効となります。
しかし労働者に知識がない事を言いことに、一方的に不利な契約を結ばせてしまう会社は後を絶ちません。
これもその一つです。
社員からアルバイトへ会社は降格させるとしてもその法的根拠はありませんし、裁判になれば無効になる事は会社も判っています。だからここで降格する社員に「アルバイトになる事を同意する」書類にサインさせようとします。
しかし、こういった書類に絶対にサインをしてはいけません。
サインをしてしまえば、法律的に社員からアルバイトへ降格させた事が有効になってしまう可能性があります。
社員からアルバイトに降格させる事に同意してしまったら?
裁判で覆す事は出来るかもしれません。
しかし出来ない事もあるのです。
というのも、社員からアルバイトへの降格をこういう建て付けで解釈される事があります。
社員である労働契約を解除、そしてアルバイトとして再雇用したという形式です。
また会社によっては同意を求めずに一方的に通告して、アルバイト扱いする会社もあります。
そういった時は必ずそのことに同意していないと明示する事が大切です。
それは口頭で会社に伝えても、言った言わない論に発展しますので、文書として残すことが大切です。
形式としては、「社員からアルバイトへの降格に同意しない」という通知書か、もしくは「社員からアルバイトへの降格の撤回を求める」申込書になります。
仮に裁判になった時に備えて、出来るだけ証拠能力の高そうな「内容証明」にて送付する事をオススメします。
書類送付だけでなく労働局か弁護士に相談しよう
いくらあなたが「アルバイトへの降格には同意していない!」と言っても、会社がアルバイトの待遇をしたり給料をアルバイトとしてしか払ってくれなければ、実質的にアルバイト扱いになってしまいます。
だからこそ、そういった時は労働局に相談してみましょう。
ここには労働に関する契約や待遇で会社と揉めた時に調停してくれる部署があります。そこを利用しましょう。話しを整理するために、会社にいつどんな形で言われたか、それに対して自分はどういう発言をしたのかといった事をメモを事前に準備しておくといいでしょう。
また裁判を考えている人は、弁護士に相談するという手もあります。中途半端に会社と交渉する前に、早めに弁護士を入れてしまった方がいいでしょう。いざ裁判になった時あなたの発言一つが重要な意味を持つことがあるからです。それならば隙を作る前に足元を固めるためにも相談は早めにしましょう。
会社の説明に納得できない場合は安易に同意しない事が重要
アルバイトに降格させるのは、決して懲罰的な意味とは限りません。会社が会社の都合で申し出る事もあります。アルバイトに降格させるけど、それは書類上の事だけで、待遇は変えない等々、都合のいい事を説明する事もあります。
しかし、その説明に納得できない場合は、安易に同意はしない事です。特に契約に関する事ならば猶更です。
基本的に社員からアルバイトに降格させる法的根拠はないのです。それが就業規則に記載してあってもです。可能性があるのは社員がそれに同意した場合のみです。
会社から同意を求められずに一方的に通告されて時も同様です。
出来ればこの段階で、労働局や弁護士に相談する事をオススメします。会社には弁護士なり法律に知識のある人がいますが、あなたにはいません。その知識の差を利用してあなたに不利な条件を申し出てくる会社はある事は事実です。
社員だって戦う手段はありますから、唯々諾々と諦めない事が重要です。