会社生活において労働組合はどのように出世に関わるのか教えます
私は、息子たちが大学時代に、就職するならどのような業界・業種でも良いが、労働組合のある企業に入れと指示しました。
何故なら、労働組合のある会社は、会社側が労働者の権利を認め、労使関係が健全な会社であると判断できるからです。
健全な労使関係とは、お互いが相互チェックを行ないながら、発展していくことであり、つまり会社が繁栄することです。
会社が繁栄するということは、社員の出世、幸せに繋がります。
労働組合活動が社員の出世にどのように関わるかを紹介します。
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労働組合のない会社の社員は、出世できないのでしょうか?
かつて労働組合の組織率は、50%を超えていた時代もありましたが、今(2016年)は、17%まで落ちています。
主な原因は「非正規従業員の増加」にあります。
労働者派遣法のほか様々な法律改正により、多くの企業において非正規従業員を活用することが普通になりました。
かつて、正規従業員が担当していた仕事の多くを非正規従業員が処理しているのが現実です。
非正規従業員は、終身雇用が約束されないこともあり、勤務先企業への興味、関心が必然的に低くなります。
従って、労働組合活動についても自分に関係のないこととして捉え、労働組合への加入を控えることになるのです。
非正規従業員であっても労働者には変わりはありません、従って、労働者としての権利を主張できます。
しかしながら、個人が会社側に対してその権利を主張することは、法律上も困難です。
そこで、労働組合の存在が出てくるわけです。
労働組合は、会社とどのように関わり社員の出世に影響するでしょうか?
労働組合法という法律があることをご存知でしょうか?
この法律により、会社側は、労働者の権利について労働組合という組織と交渉する義務があるのです。
つまり、正規、非正規に関わらず、労働者は、労働組合という組織に加入することで、会社側と交渉が可能となります。
労働者は、労働組合に加入することで、会社側からの無理難題に対しても、交渉を行ない、労働組合が労働者の権利を守ってくれるのです。
従って、労働組合に加入することが、出世の第一歩なのです。
では、労働組合にどのようにして加入すればよいのでしょうか?
大手企業であれば、入社と同時に労働組合の加入手続きの案内があり、それに従って加入すればよいのです。
但し、建前上は、加入は「任意」となっておりますが、必ず加入しましょう。
労働組合に加入すれば、毎月の給料から「組合費」が天引きされます。
何かを勘違いし、この組合費を引かれるのが嫌で、労働組合に入らない社員が最近増えているようですが、とんでもないことです。
労働組合の組織率は企業規模によって異なり、大企業で6割、中小では1割弱です。
従って、入社してその企業に労働組合がない場合は、しばらく様子をみた上で、回りの人達に相談しながら、地域毎に存在する「合同労働組合」に加入して下さい。
労働組合のある会社の社員は、必ず出世できるのでしょうか?
会社の仕事をする上では、会社の方針、自分の所属する部署の方針、上司の方針をしっかりと理解して自分のやるべき仕事に取り組むことが重要です。
労働組合活動においても同様であり、その活動方針をしっかりと理解した上で対応すべきです。
まれに、勘違いして行動する人がいるようです。労働組合活動にのめり込み、労働組合あっての会社、労働組合のために会社があると、勘違いして暴走してしまうのです。
こうなったら、会社からは完全に烙印を押されることになりますので注意しましょう。
ある程度の期間が過ぎると仕事にも慣れ、会社全体の仕事の流れ、関連会社との仕事の流れ、更には社員の給与体系も理解できるようようになります。
また、会社が属している業界の問題点、会社自体の抱えている問題点、社員たちが抱えている問題点等々が見えてくるようになります。
この頃に、少し勇気を出して、労働組合の役員に立候補してみませんか?
人望が深まり、ビッグチャンスに繋がる可能性が大きくなります
立候補するからには、日頃から模範となるような仕事をこなし、同業他社の経営状況、給与体系をも情報収集し、自社との比較・分析等を行なう活動が必要です。
このことにより、「彼だったら、私たちの要求を正確に会社側に伝え、より良い交渉結果を出してくれるはず!」と、回りの人が感じ取り、選ばれることになるのです。
平社員でも役員に成れます。役員なると、春闘の時等に、会社側の経営陣と組合員の代表として対等に交渉を行なうことになるのです。
経営陣は、会社の利益が前年度より多く出たからと言って、それをその年度にすべて給与に反映することはしません。
何故なら、それが一過性なのか、しばらく継続する可能性があるのかを見極める必要があります。
もし、一過性ならば、将来の利益が落ちた時の備えとして留保することとします。
こような一連の経営判断について、労働組合側の役員も理解できなければ、経営陣から信頼感が得られず、円滑な交渉が出来ません。
これらがちゃんと理解出来て、譲るべきところは譲り、要求すべきところは、ちゃんと要求することで、労使双方に良い結果が出るのです。
このような交渉術を身に付けることにより、組合員、経営陣双方からの人望が深まるのです。
更には、経営陣に一目おかれることとなり、ビッグチャンスにもなり得るのです。
ビッグチャンスを活かし、更に精進すれば、会社の役員になれます
労働組合の活動で実績を出した役員は、同時に優秀な社員でもあるわけです。
それが平社員であっても、経営陣に取っては、近い将来の管理職(一般的には課長以上)の最有力候補になるわけです。
管理職は、仕事を充分に理解し、企画立案力に優れ、卓越した交渉力を持ち、更には強いリーダーシップが必要になります。
しかし、平社員からいきなり管理職には昇格できないので、まずは、係長からのスタートとなります。
同時に、出世のスタートにもなるのです。経営陣が一目おいた係長ですから、それまで以上に頑張れば、次の課長、部長への道が他の係長よりも早く開けてくるのです。
更に、強いリーダーシップと優れた経営能力を身に付ければ、会社の役員、つまり取締役、更には社長も夢ではなくなるのです。
労働組合という組織において、労働者の気持ちを理解し、彼らをまとめる役員経験をした社員は、会社という組織をまとめる力も大いに発揮するわけです。
短絡的で、誠に乱暴な言い方になりますが、労働組合活動が社長になる早道だということです。