職場の休憩時間に、1人で仕事を続けている人が急増
昼休みが昼休みと呼ばれるのは理由があるからです。
しかし今、机に座って、サンドイッチをつまみながら仕事に精を出すのが当たり前の光景のようになっています。
人材派遣会社の最近の調査によると、多くの会社員は、本当は同僚と一緒にお昼を食べたいのに、1人で食事をしています。他にも、お昼休みに運動でもしたいと思いながら、どうしてもそうはいかない人たちもいます。
職場の休憩時間のあり方が問われています。
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1人で過ごしたくない職場の休憩時間、でも現実は
いつも昼休みを実際にどのように過ごしているのか、そして本当はどう過ごしたいのかを会社員に尋ねたところ、望む過ごし方と実際の過ごし方で一番ギャップがあったのは、1人で食事をすること、運動をすること、または昼寝をすることに集中しました。
1人で食事を取りたいという人は32%ですが、実際は49%の人が1人でお昼を食べており、同僚と一緒に食事を楽しみたいと46%の人が思っていますが、実際にそうできるのは37%だけです。
また、運動をしたいと思う人は37%ですが、実際にできる人は10%だけで、その他には13%の人が軽く昼寝をしたいと思っていますが、実際にできるのは3%だけです。
全国オンライン調査で2,500人を超える回答者が、お昼休みの過ごし方について、その理想と現実について答えてくれましたが、一番懸念を呼ぶのはこれでしょう。
同僚と一緒の昼食は、ほとんどの労働者にとって現実的ではないようですが、時間をとって同僚や友人と昼食を取ることには多くの利点があり、ビジネスネットワークの関係を強化するのに役立ったり、社内のインフォーマルな情報の交換などもできるでしょう。
職場の休憩時間に1人で仕事を続ける理由
机で1人で食事を取る人が増えているのは、おそらく労働者に対する要求が絶えず高まることに伴い、昼休みが徐々に消えていっているからです。労働者は昼休み中も働けという大きな圧力を感じています。労働者の生産性を上げ続けろという要求から、労働者は解雇され、代わりの人は来ません。仕事は増えるばかりです。
最近の調査によると、1時間の昼休みを取らない人は、年に16日分追加で働いていることになると分かりました。労働者がこうしたの過酷な労働条件を我慢しているのは、自分の権利を知らないからです。多くの時給労働者にとって昼休みは無給です。これはひどい取引と言っていいでしょう。
消えゆく昼休みを懸念し、「ランチ・デコイ」と呼ばれる運動もあります。デスクに自分の代わりに空気人形を置いて、昼休みを取り戻すのです。人形を膨らませ、机に置き、昼食を食べに行くのです。昼食を食べに出ない人に理由を聞くと、上司や同僚にどう思われるか心配だと言います。だからオフィスを出たことに誰にも気づかれないようにしようという、ちょっとした冗談プロジェクトです。おとりにオフィスを守ってもらい、昼食を楽しみに出ましょう。
職場で1人、休憩時間に仕事を続けても、よいことはありません
多くの労働者は、時間を節約するために机でお昼を食べると答えています。メールの返事を書いたり、常にやることがあって、休憩を取ることがほとんどないのです。目を休めるために、せいぜい2分か3分くらい作業の手を止めるくらいです。
しかし皮肉なことに、お昼休みもずっと仕事をすると、逆に生産性が下がります。昼休みにも仕事を続けることを奨励するのは、雇用主にとっては、効率的ではありません。研究によると、労働者が同僚と昼休みを一緒に取ることができれば、職場の生産性と士気が25%も向上します。
事実、労働者が同僚と親しいほど、また1日を通して話をする同僚が多いほど、生産性は上がります。昼食を長く取ると、午後オフィスで過ごす時間が長くなりますが、外出して創造的活力をリフレッシュするのは価値があります。同僚と一緒に散歩をするのもいいかもしれません。
休憩時間は体を休めるだけではない、労働者にとって大事な時間です
昼休みを取らないと生産性が低下するだけでなく、労働者が集まり、労働条件について話す時間もなくなります。
雇用主の中には、それを目的に社員が昼休みも働くように仕向ける人もいるようです。職業にかかわらず、仕事からチームプロジェクトのような感覚が消えつつあり、より個人プレー化しているので、それも昼休みがなくなりつつあることに貢献しているのでしょう。それでさらに労働者同士の交流が減っていきます。
仕事が忙しい人は仕事が終わった後に友人を作ったり人と話す時間をなかなか持てません。ですから、オフィスで同僚と一緒に昼食を取ることは非常に重要です。お昼休みや休憩時間は同僚と話をしたり友人になることができる、とても貴重な時間なのです。お昼を一緒に取ったり、たわいのない話をすることで、同僚と良好な社会的関係を築くことができます。
ちゃんとした職場の習慣は、まず隗より始めよ
おそらく、昼休みを取らない傾向の中で最も恐ろしい部分は、この不健全な傾向を盲目的に受け入れることです。自分の机で昼食を食べることはますます習慣の一部となっており、多くの人は休憩を取ることについてよく考えないのです。
経営者こそ労働者に昼休みを取るよう促すべきです。結局はそれが労働者にとっても会社にとってもよいことだからです。しかし、これを効果的に行うためは、行動の方が言葉よりも物を言うかも知れません。多くの人が、上司の行動を見て、それを真似しようとします。
そうしてもよいのだと分かるのです。上司が職場にこもって仕事に打ち込んでばかりいるのではなく、自らお昼休みに外に出れば、みんなが外に出て休憩してもいいと思う環境を作り出すのに役立つはずです。
仕事中に昼休みや休憩時間を取るのは、当たり前のことでした。それが休憩中に働くことが当たり前になってしまったら、次は何が当たり前になるのか、想像してみることです。