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上司からの電話 夜中や休日にかかってきたらどう対応すべきか

夜中、寝静まった頃に突然の着信音。何事かと見てみれば、そこに表示されているのは上司の名前――

さて、あなたは、この時、どう対応しますか?

夜中のみならず、休暇中や勤務時間外にかかってくる電話に辟易している人は、実は結構存在します。

中には、考えられない要求や、嫌がらせ目的の電話で、パワハラ認定を受けるような被害を受けている人もいます。

こうした夜中の上司からの電話には、どう対応すべきなのでしょうか?

上司からの夜中の電話 実は違法なことだった!?その真相は…

もし、あなたの仕事が、昼夜関係なく稼働しているものに関わることであるならば、夜中に上司からの電話がある、ということは決して珍しいことではないでしょう。

例えば、急な欠員が出てしまっただとか、あなたでしか対応できない事案が発生した、システムダウンなどの大きな事件が起きた――こうしたことが考えられるならば、その上司からの連絡は、正当性のあるものだと考えがち。

が、実は、勤務時間外に業務連絡をすることは、労働基準法により”違法”とされている事案だということを、ご存知でしょうか?

勿論、ただ連絡することが違法なのではなく、簡単に説明すると、勤務時間外に業務連絡をすると、その対応している時間を時間外勤務・休日出勤として扱わなければならない、つまり賃金が発生する、という仕組みなのです。

上記のような緊急の対応のための電話や、本来ならば勤務時間内に伝えるべきだった業務連絡の電話も、言ってしまえば時間外勤務に相当するので、電話に出たからにはその時間分の賃金を請求する権利があり、そして会社としては賃金を払う義務があるのです。

上司からの夜中・休日の電話に賃金を請求する人はほぼいない現状

とは言え、実際に、電話連絡を受けた時間を事細かに記録し、その時間分の賃金を請求する、ということは、行われていないのが実情です。

むしろ、そうした要求を出すことは、会社・上司としても当然の権利とわかってはいても、”扱いづらい・自分の権利ばかりを優先する社員”として見なす傾向があることは否めません。

事実、周囲でも、そうした電話連絡を受けた時間の請求を行った、という同僚の話を耳にしたことはないのではないでしょうか?

ですから、結論から言ってしまえば、夜中である・なしに関わらず、勤務時間外の時点で、会社や上司からの電話連絡に応対する義務はないのです。

しかし、それを鵜呑みにして、会社からの連絡を全て無視してしまうのは、労働者としては決して間違っていない対応ですが、やはり、会社の業務遂行に協力的でない、と考えられてしまう風潮があります。

勤務時間外に無給の、言わば”奉仕”をしなければ、評価が得られない体質は問題があります。

ただ、それを全面に押し出しすぎると、自分自身が働きづらくなるというジレンマを、現在の企業は抱えているのです。

上司からの夜中や休日の電話の頻度が多いとパワハラになることも

問題はそれだけに留まりません。

その上司からの連絡が、業務とは全く関係のないものだったり、頻度があまりにも高すぎるものだったりするケースです。

確かに上司は部下のことを管理する立場にありますが、夜中は勿論、全くのプライベートタイムを、電話によって妨害する権利はありません。

まして、仕事の都合上知らされている部下の電話番号を、仕事の内容に繋がらない話をするために使用することは、個人情報保護の面でも不適切です。

このような電話連絡がもしあまりにも度を過ぎていて、心身に苦痛を受けた場合などは、パワハラ――つまりパワーハラスメントだと認定される可能性も出てきます。

ただ、どんな仕事においても、上司からの緊急の電話が、違法であったり、パワハラに当たったりするとは限りません。

IT企業の中の24時間体勢で見守る必要のあるサーバー管理業務など、時間外の呼び出しがあり得る業種では、先んじて就業規則にその旨が記載されている(加えて労基などに届出済み)ならば、それにサインをして雇用契約を結んでいる以上、上司からの電話には出なければならないと言えるでしょう。

LINEやメールでの勤務時間外の連絡に関しては?

ここで少し扱いが難しいのが、LINEのような簡易メッセージアプリ、そしてメールなどを利用した、夜中や休日の上司からの連絡です。

こうした、メッセージの受け手側が都合の良い時間帯に確認できるツールでメッセージを送ることをどう捉えるべきか、実はまだ詳しい法律なども決まっていないのが現状です。

それに、送信側が「電話のようなこちらの都合に合わせた連絡手段ではなく、受信側が都合のいい時間に確認できるようにLINE・メールにした」と言えば、そちらの主張のほうが支持される傾向にあります。

しかし、実際にLINEなりメールなり、届いたことが分かってしまえば、それを確認したくなるのが人というもの。

もし、勤務時間外に頻繁に会社や上司、同僚から連絡が入り、それが苦痛に思うのであれば、アプリ自体の使用を辞めたり、通知をオフにしてしまうなどの対処を取るのも一つの手です。

自分の雇用契約を見直し、それに沿った対応策を考えよう

もし、上司から、夜中に電話を受け続け、それが苦痛になっているのであれば、一度上司に「夜中の電話は辞めて欲しい」という旨を伝えるか、直接言いづらいのであれば、さらに上の立場の上司を通す、人事部などに相談をするなどして、改善を求めていく方法を取りましょう。

特に労基法に詳しい人間を挟めば、勤務時間外の電話連絡は違法であるという点について説明してもらえることが期待できます。

むしろ、上司側としては、(年齢にもよりますが)勤務時間外の電話連絡が、違法であることを知らない可能性のほうが高いこと、そして自分達が若手だった時には、会社からの求めには、いついかなる時でも対応するのが美徳、という社会で生活してきたことから、電話連絡はおかしいことではない、と考えている可能性が高いからです。

出来るだけ角を立てないよう、それでも現在、自分が非常に困っている、そうしたことを、着信履歴などの客観的な証拠を見せつつ相談するようにしましょう。

何れにせよ、働くことというのは、オトナの義務の一つ。

しかし、勤務時間外にも働かなければならないか、というとそうではありません。

一度、自分が会社と結んだ就業規則を読み返し、こうした連絡を会社としてどう扱っているかを確認し、それに応じた対応策を取りましょう。

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