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退職までの期間は2週間? 辞めさせて貰えない時の対処法!

一度正社員として働き出した会社を退職する。

離職者率が高い昨今とは言えど、実際にそう決意するのには相当の覚悟や勇気を伴う人の方が、やはり多いのではないでしょうか。

出来ることならば円満に退職したいものですが、実際はそうも言っていられない、今すぐにでも辞めたい!という状況に追い込まれている人も少なくないでしょう。

そんな時、よく耳にするのは「退職までの期間は2週間あればいい」という言葉。

実際、これは本当なのでしょうか?

退職の意思を示して2週間期間を開ければ辞められるのは本当?

退職の意思を伝え続けたのに、いつも「保留」、「受け入れられない」と言われ、最終的に一方的に退職届を提出し、自分で決めた日に辞めてしまう――

インターネット上でよく見る”退職体験談”では、こうしたケースは決して少なくありません。
 

本当ならば、多少なりともお世話になった会社に、最後の義理は通したい。

けれど、次の仕事に就く・探すためにも早く退職したいのに認められない。

そうした時の最終手段として、よく言われるのは「退職の意思を示してから2週間の期間で退職することが可能」という話です。
 

そんなに簡単に会社を辞めることが出来るのか、と疑問に思うかもしれませんが、これは確かに事実です。(※)

これは『民法』で定められた、労働者の権利であり、”退職日の2週間以上前”であれば、会社に対して一方的に通告するだけで、会社側はその日に退職することを認めなければならないのです。
 

※ただし、これは無期雇用の正社員、もしくは同じく無期雇用のパート・アルバイト等に限った話で、雇用期間の決まっている契約社員には適用されないケースが存在します。

退職まで2週間は、何が根拠?労働規則の期間とどちらが優先?

「民法で決まっていても、労働規則では○○日だってあるけれど…」と思う人もいるでしょう。

確かに、会社ごとに存在する労働規則の退職日はまちまちであり、多くの場合30日前(1ヶ月前)等と記載されていることが多いです。

ただ、これは『引き継ぎや手続きにかかる日数を加味して会社側が定めているに過ぎない』期間です。

優先されるべきは会社の規則ではなく、最終的には法律、つまりここでは民法です。
 

逆に、会社側から解雇を告げられた場合ですが、これは労働者側から退職を申し出た時と異なり、”解雇日の30日前”までに通告しなければならないことが『労働基準法』で決まっています。

つまり、「2週間後に辞めます」という労働者の言葉に、会社側が「それならもう今日付けで解雇する!」とはいかないのです。
 

ですからもし、会社側に問題があり、中々辞めさせてもらえないと悩んでいるのであれば、民法に則って2週間後を退職日とすることを一方的に会社に対して申し出れば、それを会社側は受けざるをえないのです。

円満退職をしたいなら、2週間より会社の定める期間を優先すべき

勿論、会社側の体制に問題があるわけではなく、円満に退職を望むのであれば、余程のこと(例えば田舎の親が倒れ、急に介護が必要になったケース等)がない限り、この退職までの期間を2週間とするのはいい方法とは言えません。

むしろ、会社にとっては寝耳に水、しかも酌量すべき理由もないとなると、民法で定められた期間に則っているとは言え、いい気はしないものです。
 

そうした波風を立てるつもりがないならば、就業規則で会社が定めている期間か、もしくは会社側と話し合って、自分の仕事の引き継ぎに掛かる日数や、残っている有給休暇の消化方法、また自分自身の都合などをすりあわせ、両者の納得のいく期間を取るべきです。
 

実際、退職後に就職活動をする時や、既に次の就職先を見つけていたとしても、新しい会社側の条件として「前職を円満退職すること」というルールを定めている会社も存在します。

会社にとって、社員を雇うことは大きな金額を必要とすることですから、責任感や常識を持った人を雇いたいと思うのも当然だからです。
 

自分の会社の就業規則、そして通例などに則って退職日を決めるほうが、ずっと自分の為になります。

退職で生じる損害を賠償しろと脅された!これは払うべきもの?

一方的な退職を通告することで「退職するならば損害賠償を求める!」と脅してくる会社も中には存在します。

しかし、会社側が退職に際し、不当な損害賠償を求めること、そしてそれを盾に退職を撤回するように要求することは、法律で禁止されていることです。
 

労働者側が会社に対して、大きな損害を与えているような時や、業務上横領が事実としてあった時は別として、会社側が「これまでの勤務中に起きた小程度の過失」、「退職することによって生じるであろう損害」を理由に損害賠償を求めること自体、禁止されているのです。

また、就業規則や雇用契約書上に「会社に損害を与えた時には賠償金を払う」といったことを記載・定めること自体が法律違反なのです。
 

ですから、こうした脅しを受けた場合には、まずどういった要求が会社側からされているのかが、客観的に分かる証拠(メールなどの媒体や、口頭ならばその録音データも可)を持った上で、まず”労働基準監督署”に相談するのがいいでしょう。

匿名で相談することも可能ですし、ここに相談したことが会社に漏れることもありません。

是非、こうした公的機関への相談から始めるといいでしょう。

円満退職が不可能ならば、自分の持つ権利を行使しよう

退職に際し、退職届を書くべきか、それとも退職願を出すべきか、そもそもその違いは何か、知っている人は少ないです。

この2つがどう違うかというと、

退職届

辞める意思が固く、一方的な通告にも使用できる/拒否は認められないが、撤回は出来ない可能性が高い

退職願

辞めさせて欲しい、という消極的な退職の意思がある時に使う/拒否されることもあるが、受理された後はやはり撤回は出来ない
 

待遇改善等があっても退職を決めている、そんな時には退職届の提出をするのがいいとされています。

が、実は、退職の意思を確かに伝え、相手も了承したのであれば、退職届や退職願自体は、本来は必要ないのです。
 

そして退職理由に関しても、これも特に答える必要がなく「自己都合」とだけ答えても、実際は問題ありません。

ただ”立つ鳥跡を濁さず”の精神で言えば、余程口にすることが難しい理由でない限り、直属の上司などには説明しておいたほうがいいでしょう。

その方が、より円満に、自分の都合がいいように、気を配ってもらえるでしょう。
 

辞めるに辞められない、そうして追い込まれている人は、どうか会社の言葉に騙されず、自分の権利を最大限利用しましょう。

そしてそうでないのであれば、社会人としての常識に乗っ取り、円満退職を目指しましょう!

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