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望まぬ転勤命令を受けた時、退職願を出すべきか、それとも…

会社側は、簡単に転勤とは言うけれど、その命令を受けた一社員としては、たまったものではありません。

今まで生活していた場所から離れるぐらいであるならば、退職願を出してでも転勤は避けたい!と思う人もいることでしょう。

しかし、自分では一種の脅しであったつもりの退職願が受け入れられてしまったら元も子もありませんし、何より、どんな転勤でも、決して自身の今後にマイナスになるとは限りません。

転勤命令を受け入れるか、それとも退職願を出すべきか――あなたのケースは、果たしてどちらなのでしょうか?

望まない転勤命令… 受けるより退職願を出したほうがマシ?!

例えば、本社しか勤務地がなく、別の地方への出向もない、そのような職場であれば別ですが、特に大規模の――全国各地に支社や支部があるような会社の場合、いつ、自分に転勤の命令が下るか戦々恐々としている、という人もいるのではないでしょうか?

この、会社からの転勤命令、それが余程の栄転か、あこがれの土地(例えば都市部)への異動でない限り、喜んで受ける!という人は少ないでしょう。

なにせ、転勤は言ってしまえば「今までの生活基盤が全く違う場所で生活をしろ」という、理不尽な命令だとも取れるからです。

更に、自分の家を買ってしまった後だったり、既婚でパートナーも仕事をしているような時、そして子供がいて、既に学校などに通っている時などは、家族全員を巻き込んでの生活拠点の移動になるか、単身赴任を取るかなど、考えることは山のようにあります。

だからといって、「絶対に転勤したくない!転勤するぐらいなら、退職願を出してやる!」と、半ば脅しのように退職願を使うのも簡単なことではありません。

果たして、望まない転勤命令、受けるか、仕事自体を辞めるか、どちらが正しいのでしょうか?

退職願を出すのは、本気で転勤より退職を選ぶ時に限られる方法

まず、第一に、「転勤命令を受けるぐらいなら退職願を出してやる」と考えることについてですが…。

『あなたが本当に会社を辞める覚悟がある時にしか、使えない手段である』ことを忘れてはいけません。

労働者は、特別な契約で勤務期間が決まっているような状況を除き、退職願(退職届)を出した時点で、会社を辞めることを通告できる”権利”を持っています。

つまり、会社としては退職願を出された時点で「仕事を辞める意思がある」と宣言された状態です。

もし、会社にとって、あなたが本当に必要な人材であり、転勤命令を下げてでも残って欲しいと思われるほどの評価を受けていれば、撤回される可能性はあります。

しかし、そうでない場合は、あっさり受理されてしまう、という危険性があるからです。

※ちなみに、”退職届”の方が、より退職の意思が強く、退職の意志を撤回しない・”願い”ではなく一方的な通告である、と考えられるものです。

会社側の出方を見て最終的に判断をしたい場合には、”退職願”を出し、会社との交渉の余地は必要ない時には”退職届”を出す、とおぼえておきましょう。

そして、提出したのが退職願であったとしても、退職手続きが始まってしまってからでは、撤回は出来ないものと思っておきましょう。

転勤するぐらいなら退職願! ――でも本当にそれでいい?

転勤するぐらいなら辞めてやる!と思う人もいるでしょうが、果たして、本当にそれは正しい判断であるのかどうか、しっかり一度考えなければなりません。

自分の現在のスキル、そして会社からの評価を考え、「望まれている転勤」か否かを見定めることも重要なポイントです。

もし、現在の自分の評価に満足した上で、望まれている転勤であれば、それはいわゆる栄転になったり、地位が上がることへの布石ともなり得るでしょう。

会社だって、たかが社員1人とその家族と言えど、異動させるのはそれなりのリスクや出費を伴います。

それをしてでも、転勤してほしい、そう考えられているのであれば、将来のために転勤を受け入れるのも一つの手です。

問題は、意味もない転勤命令――いわゆるリストラ目的の転勤命令であるような場合です。

そんな時は、例え転勤しても、リターンがあるとは限りませんし、転勤先で更に不当な扱いを受けて退職するハメになる、という最悪の状況もあり得ますから、十分見極める必要があるのです。

転勤を拒否し、更に会社に居続けることは可能か否か

転勤を拒否し、かつ会社に居続けることは可能なのでしょうか?

残念ですが、会社と交わした雇用契約(就業規則など)に「勤務地限定」、「転勤は希望する者のみ」などの記述がない限り、労働者は会社の転勤命令を拒否した時点で、業務命令違反をした、という理由から懲戒処分対象になります。

そして、労働契約に転勤させない旨が書かれている場合、会社が無理を言って転勤させようとして拒否されたため、これは”会社都合の退職”となりますが、そうでない時、つまり労働者(あなた)が自分の都合で転勤を拒否したために”自己都合退職”、もしくは会社の命令違反ということで”懲戒免職”のいずれかになります。

そこに、どんな理由があったにせよ、会社は利益を上げるために作られている組織ですので、考慮はしてもらえたとしても、最終的には利益に即した決定をするしかないものです。

転勤したくない・出来ない理由を訴えてあったとしても、どうしても行って欲しいと命令されてしまったら、伸るか反るか、どちらかの道しか選べないと思ったほうがいいでしょう。

頭ごなしに転勤を拒否するのではなく、熟慮して答えを出そう

会社側としても、ほとんどの企業で、転勤命令を出す前に上司などから”内示”という形で打診が来ることのほうが多いようです。

どうしても転勤することに不都合がある――嫌、という感情的な話ではなく、介護者と同居していることが理由であったり、雇用契約との相違がある場合などは、この時に、まずはじっくり話し合ってみることをお勧めします。

望まれてのことなのか、待遇はどう変わるのか、そしてまた戻ってこれるのか否か、そうした疑問を内示の時点でしっかり会社側と話し合ってから選択をしても遅くはないでしょう。

転勤を受け入れてくれるなら、と提示された条件を見もせず突っぱね、一時的な希望を優先して退職願を出してしまうような”一方的な思い込み”は絶対に避け、転勤を受け入れることで得られるメリットについても、熟慮すべきです。

それでもなお、やはり転勤をするよりは退職を、という選択をしたとしても、会社と物別れにならないよう、自分の仕事は最後までしっかり勤め上げる姿勢は大切です。

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