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これってパワハラ? 理不尽な要求か否かはどう見極めるべきか

2017.6.12

パワハラ、つまりパワーハラスメントという言葉が一般的なものになり、その解決のために様々な取り組みが成されている現在ではありますが、実はパワハラの被害者は増加傾向にあるのをご存知でしょうか?

これは、単に「今までは黙って上司の言うことに従っていたが、実はパワハラだった?」と、気付く人が増えたことも、その要因の一つと言えるでしょう。

実際、その理不尽な要求をされた時、どこからがパワハラで、何を基準にしているのか、知らないという人がまだ多い状態です。

果たして、あなたを悩ませているその理不尽な要求は、パワハラなのでしょうか?

上司や同僚からの理不尽な要求が悩み… これってパワハラ?

まず、パワハラ(パワーハラスメント)の定義について見てみましょう。

厚生労働省が定める、職場におけるパワハラの定義は、簡単に言うと以下の通りです。

『同じ職場で働く人に対して、地位・人間関係などが優位な人間が、”業務の適正な範囲を越えて”精神・肉体に苦痛を与える行為』

ここでまず踏まえておきたいポイントが2つあります。

一つが、パワハラの加害者・被害者の立場についてです。

勿論、パワハラの加害者になるのは上司や先輩といった人間であることが多いのですが、パート・アルバイトという立場であっても、後から入社した社員(実質的な立場は上)に対して行う嫌がらせ、といったケースも含まれています。

もう一つが業務の適正な範囲を越えた行為についてです。

例えるなら、上司からいきなり「今から1時間以内に○○社に行って資料を届けてこい」と、本来ならば2時間かかる会社に行かされ、時間をオーバーしたことを責められる…という”仕事に関する”理不尽な要求、更には仕事には全く関係がないこと――休日に上司の趣味に無理矢理付き合うことを強要される…という”仕事に関係のない”理不尽な要求も、これに含まれるのですね。

理不尽な要求だと思っても、パワハラでない場合があるのは何故?

多くのハラスメント行為は、「されたほうが不快になった時点でハラスメント(嫌がらせ)になる」ため、職場でのパワハラでも同様かというと、実はそうではありません。

その理由が、先に触れた、2つのポイントであり、特に重要なのが後者の”業務の適正な範囲を越えた”という部分です。

平たく言ってしまえば、もし、自分が不快に感じたとしても、相手の言動・命令・通達・要求が業務内として適正であれば、嫌だと感じる方が間違っている、という意味です。

また例え話になりますが、こんなケースはパワハラにはなりません。

自分の担当の客先に大切な資料を早急に届ける必要が出た時、届けるように上司から命令をされたが、届けていると勤務時間を過ぎてしまうことが確定しているので不快に思う、といったケースです。

もしこの時、残業代も交通費も会社から出ない、という時にはパワハラと言えます。

しかし、そうしたものが支給されるにも関わらず、単に「定時に帰れなくなるのが理不尽だ」と不快に思う時には、パワハラにはなりません。

つまり、相手が上司であり、自分が理不尽だと感じたからと言って、その行為が全てパワハラだ、とは言えないのです。

理不尽な要求か否か・パワハラか否かはどう判断すべきか

現在パワハラは、その種類により大きく6つに分類されています。
○身体的な攻撃

殴る・蹴るなどといった行為

○精神的な攻撃

他の人が確認できる状態(目前あるいはメールやSNSなど)で罵倒・叱責を受ける

○人間関係からの切り離し

周囲の同僚に自分を無視するよう仕向ける・席を孤立させる

○過大な要求

やり方の分からない仕事を押し付けられる・膨大な仕事量を割り振られる

○過小な要求

一日中シュレッダーの前で書類廃棄の仕事のみをさせる・仕事を割り振らない

○個の侵害
勝手に私物を漁る・プライベートの状況を必要以上に詮索してくる

身体的・精神的攻撃や人間関係の切り離し(孤立)は比較的分かりやすいのですが、残りの3つに関しては余程顕著でない限り、判別が難しい事例となります。

個の侵害に関しても、部下の私生活は最小限でも知っておかないと、仕事の割り振りが難しい場合などがありますし、単に好奇心故なのか、それとも本当に業務上必要なレベルなのか、お互い判断が付かない時すらあります。

そうした判別が難しい事例に関しては、客観的に第三者に判別してもらう必要があります。

理不尽な要求を受けた時には、まずその状況をメモすること

もし、自分が職場の誰かから理不尽な要求を受けたと感じた時には、その詳細な状況をメモとして残しましょう。

いつ、どこで、誰から、どんな理不尽な要求を受けたのか、といった主要なものに加え、周囲にいた人間や、何が理不尽な要求であると感じたのかなどを、証拠として残すのです。

以前から繰り返し同様の状況になっていたならば、思い出せる限り、同じくメモに書き出しましょう。

その要求がメールなどで行われたのであれば、勿論そのメールも保護しておくべきです。

これは、第三者に判断を委ねる時に、非常に役に立つ証拠になります。

もし、会社のパワハラを扱う部署や労基署に、単に口頭で「ああだった、こうだった」と伝えるより、理路整然と書かれたメモがあるほうが説得力がありますし、相談を受けた側としても判断がしやすくなります。

特に、言動によって行われることが多いパワハラの場合、「言っていない」、「言葉のあやだ」、「正当な理由があった」と相手も反撃してきやすい問題ですから、こうした証拠が特にものをいいます。

パワハラを受けて悩んでいるならば、見切りをつけるのも手

パワハラに悩む人にとって、そうした証拠を何件分も残すまで耐え続けるのはまさに苦行でしょう。

そして、もし訴えたとしても、加害者側が認めない・加害者がよほどの権力を持っている場合などには、処罰などは行われず、逆に自分の居場所が更になくなった――最初は一緒に戦う、と言ってくれた同僚がいたとしても、その後の生活のことを考えてやはり無理だ、となることも珍しくなく、孤立無援になり、結局自分一人が辞める羽目に――というケースも、決して少なくありません。

最終的には労基署へ訴えたり、弁護士に問題の解決を依頼する方法もありますが、そうした最終手段を用いてなおリターンが確約されているとは言えないのが、残念ながら現在の状況です。

それでも自分の社会的立場や心身を守るためには、自衛するより他ありません。

証拠を集めることも勿論ですが、明らかに通常の業務とかけ離れた理不尽な要求に対しては、例え上司であってもNOと言えるだけの芯を持つべきです。

そして、それでもなおパワハラが収まらない・職場が改善しない時には、労基署に頼ったり、自分から見切りをつけてしまうのも正当な手段であることは、是非覚えておきましょう。

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