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休職中に退職を決めるか否か――どのタイミングで決断すべきか

何らかの理由により、会社を休職していると、どうしても自身の今後について考えてしまうものです。

果たして、休職が終わったら再び会社で働くことが出来るのか。それとも、別の職場を探し、新たな一歩を踏み出すべきなのか。

そうした悩みを抱えた時、何を基準に判断し、どのタイミングで決断すべきなのでしょうか?

ただ一つ確実なのは、焦って決めてはいけない、という点です。


休職中に、退職したくなった時、どのタイミングで伝える?

近年、精神的(うつ病など)、肉体的な病気に関わらず、仕事が原因で体調を崩し、やむを得ず休職する人が増えています。

これは、時々揶揄されるように、現代人が打たれ弱くなった――という意味ではなく、仕事が原因の疾病に対する補償が充実してきたことによるものです。
 

単に、以前は仕事が発端の疾病に対する理解が進んでおらず、そうした価値観の中で働いてきた人にとってはそう見えるだけで、本来は(無理を押してでも仕事をすべきという考え方が)間違っているのです。

ですから、自分は何て弱いんだと責める必要も、後ろめたく思う必要も、休職という道を取ったことに後悔する必要もありません。
 

ただ、休職中、ゆっくり休んでいる間、退職について考え出すこともあるでしょう。

「体調が良くなって復職しても、また同じ状況に陥るのではないか」

「心身を壊すということは、やはり自分にはこの仕事は向いていないのではないか」

「この仕事は続けたいが、会社の空気には耐えられない」

と、退職を考える理由も様々です。
 

もし、そのように退職を考えだしたのなら、どのタイミングで会社に辞意を伝えるべきなのでしょうか?

うつ病などが原因の休職で退職を伝えるタイミングはどう決める?

まず、突発的に「もうあの会社での仕事は嫌だ!」と考え、その思いを一気に吐露して「退職します!」と伝える方法ですが、これは決して良策とは言えません。

特に、うつ病を始めとしたメンタル系の疾患を発症している時には、こうした大きな決断をすべきとは言えません。
 

治療のため、服薬している薬によっては、鬱々としていた気分が高揚し、「何とでもなるさ!」と思ってしまうものですが、こんな時ほど要注意です。

この状態は、心身の状態を薬により管理している状態であり、本来の自分の考え方と異なっている可能性があるためなのと、辞めることで病気がよくなると思っていたのに、辞めた後になってその決断を悔やむケースが多々あるからです。
 

こんな時は、まず、休職のための診断をしてくれた医師に、現在の自分の心境を話してみましょう。

医師であれば、治療の経過から、「本人の意思であるのか」「薬の影響が強く出ているためか」といった判断が可能だからです。

そして、カウンセリングの結果、退職するか否かをもう一度考えるべきでしょう。

休職中に退職を考えたなら、タイミングは主治医と話し合ってから

主治医とのカウンセリングの結果、やはり退職に対する気持ちが固まったとしても、まだ動くべきではありません。

それは「退職後の身の振り方」をどうするか、という重大なことを考えなければならないからです。

治療中の退職の決定を止めるのには、ここにも理由があります。
 

まだ体調が回復していない休職中に、就職活動をすることが、果たして可能でしょうか?

実際、この状態ではあまりいい結果が得られるとはいい難いのです。
 

新しい会社としても、「何故、現在の会社を休職中であるのか」「完全に復調していないのに、自分の会社で働いて、また体調を崩すことにならないか」「即戦力が欲しいのに、体調を考慮しつつ働かせることで会社に利益があるのか」といった、非常にシビアな目で見ることになるからです。

疲れて弱っている心身で、こうした状況に晒されることは、更に心身に負担をかけることになりかねません。
 

退職をその場の勢いで決めてはいけない理由は他にもある

そして現実問題として、休職から退職を決め、実際退職した後の賃金をどう得るか、という問題もあります。

疾病による退職は、ほとんどの場合「自己都合による退職」に当たるため、退職金は出たとしても失業保険の受給までに無給の時期が発生します。
 

その間の生活費はどうするのか、貯金で賄えるのか、そして無事に次の職場を見つめることが出来るのか――

退職には、こうした問題が山積みになります。

ですから、休職中の退職に関しては、十分考慮が必要になり、かつ、家庭がある場合には家族との話し合いも必要になるでしょう。
 

こうした深刻な、かつ慎重な判断が必要となる決断をするのには、大変な気力を要します。

ですから、その場の勢いで考え、決めるのではなく、じっくりと考えなければなりません。
 

休職中は、何かと会社から「その後はどうだ?」「復帰できそうか」という調子を伺う連絡があるでしょうが、これはあまり気にしないようにしましょう。

急かされているようで焦ってしまいがちですが、会社は会社の立場から、確認をしているだけです。

むしろそうした連絡が苦痛ならば、その旨は先に伝えてしまいましょう。

休職中は、とにかく心身の復調を最優先に考えよう

勿論、慎重にかつ冷静に判断した結果退職を選んだのであれば、出来得る限り早く、現在在籍している会社に退職を伝えるべきと言えます。

現在、会社はあなたが「復帰すること」を前提に、次の人員を補充することも出来ず、残った社員があなたがいない分の補填をしているからです。

ですから、退職を考えているならば、早めに手続きに入ったほうが、会社にとって都合がいいと言えます。
 

ただ、これは理想論、はっきり言ってしまえば”綺麗事”である面が否めません。

もし、賞与が貰える時期が近いのであれば(そしてその資格を満たしているなら)、賞与を給付されてから辞めるほうが得策ですし、そうでなくても休めるだけ休んだタイミングで「やはり無理でした」と辞めることを伝えることも、一つの手です。
 

会社は、労働者(社員)が辞意を伝えた場合、それを受理しなければならないことが決まっていますから、自分の都合のいい時に退職を決めても、元々何の問題もありません。

そして、あなたが会社に対して、無理を押してでも義理を果たす必要も、本来ならばないのです。
 

あなたの健康も、今後の人生も、あなたの選択で選んでいいのです。

まずは、自分の心身の健康を取り戻すこと、そしてその上で、自分の未来を考えて判断しましょう。

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